MDがついに終了...

ソニーがMD(MiniDisc)から撤退というニュースが!

ソニー、MDプレーヤー事業終了へ 最後の機種も3月で出荷終了 – SankeiBiz(サンケイビズ)

寂しい限りである...

1992年に誕生したMD.私が大学生の頃である.

それまでは,CDはカセットテープにダビングするのが主流で,おそらくほんの一握りのお金持ちの方々がDATにディジタル録音されていたと思う.庶民が扱う録音機器は,アナログが主流で,ディジタルなんて夢のまた夢であった.

そんな折,2つの規格のデバイスが現れた,それが,ソニーが開発したMD(MiniDisc)とパナソニックとフィリップスが共同開発したDCC(Digital Compact Cassette)である.

音楽がディジタルで記録できる.これは,私ら庶民にとってはものすごく大きな出来事であった.
アナログテープでは必ず起きるヒスノイズや回転ムラが存在する事無く,ほぼ原音のまま記録できる.ここで「ほぼ原音」と書いたのは,ここでのディジタル録音が非可逆圧縮で行われている為だ.おそらくそこで初めて,私は音声圧縮という技術を目にしたと思う.

でもって,MDとDCCという2つの規格である.

MDは知っているがDCCは聞いた事がないという人がほとんどだと思う.これは,かつてのVHSとベータのビデオテープの規格争いを思い出させる.実質的に品質が良かったとされるソニーの開発したベータが破れ,ビクターの開発したVHSが勝者したというやつである.

DCCのメリットは,それまで主流だったアナログカセットテープを再生できる,いわゆる互換性を考慮したものであった.アナログテープに録音はできないものの,過去の遺産であるアナログテープも時に再生したいというユーザの希望を叶えたものであった.

しかし,テープ形式であったため,MDのディスク形式と比べ,高速なランダムアクセスが不向きであったこと,これが致命的であった.
その時,CDは既に普及していたので,CDの高速ランダムアクセスに慣れている者にとって,テープでの頭出しはまさにノロマな亀でしかなかった.

おそらくMDの方が普及するであろうと,私も含め同じ考え方の人が多かったのだと思う.
やがてDCCは衰退して行った.

MDの音声圧縮方式は,初期はATRAC方式.
今,ATRAC方式ってどうなんだろう...今や音声圧縮の代表的な方式はMP3,AAC,WMAである.
MDもATRACも日本でしかほとんど普及しなかったと言われている.

その後,フラッシュメモリが安くなって普及しだして,そこにディジタル音楽データを記録して再生する,「シリコンオーディオ」だの「ソリッドオーディオ」だのというデバイスが出だした.
そして色んな圧縮形式(コーデック)も生まれたが,最終的にはどのデバイスもMP3は採用し,それが主流となってきたが,日本は著作権の関係でMP3には余り積極的ではなかった.

そして,AppleのiPodの登場である.

数GBから数十GBという記録容量で,自宅にあるCDライブラリが丸ごと保存できて,しかも持ち歩ける.これがそれまでのオーディオのスタイルを変えた.ある意味,ソニーのウォークマンが出た(1979年)ときぐらいのショッキングな出来事であった.

CD音源をパソコンに取込みデバイスに転送する,つまりソフトウェアの使い勝手で善し悪しが決まる.そこでApple iTunesであり,Microsoft Media Playerである.そこにはもう日本のメーカーは出て来ない.そして,携帯音楽プレーヤーは,携帯電話,スマートフォンへと移っていく.

そこにはもうMDの場所は存在しないということなのであろう...